【河内長野市】木と対話するように庭を整える。「庭寿縁」として活動する若手庭師に、樹齢100年超の槇の手入れをお願いしました

枝が密集して全体的に重めのシルエットになっている槇の木
築50年の古民家の自宅に、樹齢100年を超える槇の木。河内長野市内では、地域柄、昔ながらの家や庭を構えた家もありますが、樹齢100年を超える木はそう多くはないそうです。シンボルツリーともいえるこの木と、これからも長く付き合っていくために、庭師さんに手入れをお願いすることにしました。

今回来てくださったのは、河内長野市周辺で活動している「庭寿縁(ていじゅえん)」の東寿希さんです。作業が始まったのは、朝8時30分ごろ。大きな槇の木を前に、まずは全体の枝ぶりを確認します。木に近づいて枝を見たり、少し離れて全体の形を見たり、ときには上から確認したりしながら、どの枝を残し、どこを整えるかを慎重に見極めていきます。

剪定と聞くと、伸びた枝を短く切る作業を想像しますが、実際に見ていると、それだけではないことがわかります。東さんが大切にしているのは、なるべく自然な姿のまま、その木がのびのびと、かっこよく枝を張れるように整えること。木の個性や、家とのバランスを見ながら、少しずつ形をつくっていきます。

ひとりは木の上、もうひとりは外から眺めて指示を出します
大きな木の剪定は、ひとりでは難しい作業も多いそうです。この日は、同じく河内長野市在住で、10年来の仲だという相棒の北野雄馬さんと2人体制で作業。大枠の枝ぶりを整えたあと、さらに細かな部分の剪定へ。作業は夕方17時過ぎまで続きました。

2階の窓からの景観も確認しながら進めます
枝の重なりや風の通り方、外から見た形、枝の勢いなど、2人が阿吽の呼吸でひとつひとつを確認しながら整えていく様子に、庭師という仕事の奥行きを感じました。

作業中の所作や片付けにも、丁寧さがありました。庭師としては当たり前のことなのかもしれませんが、道具の扱いや休憩時のふるまいまで、こちらも少し背筋が伸びるような感覚になります。

東さんがこの仕事に就いたのは17歳のころ。はじめは街路樹の植栽管理を行う企業に就職しました。仕事を続けるなかで、一本の木や庭と向き合う仕事への思いが強くなり、庭師としての道を歩み始めました。のちに師匠と呼ぶことになる堺の庭師の現場に同行しながら、学んでいったそうです。

庭に生えるほかの植物にも手を加えてくれる東さん
その師匠の一番弟子が営む会社に所属し、修業を重ねていきました。そして今から2年前に独立。現在31歳の東さんは「庭寿縁」として、河内長野市周辺を中心に活動されています。日本各地に師匠と呼ぶ庭師がおり、遠方へ応援に出向くこともあるとか。全国的にも若手の庭師が少ないうえ、「誰でもいいってわけじゃない」と声をかけられることもあるそうで、東さんへの信頼がにじみます。

建物側に負担のないよう剪定し、全体的に風が通るように
庭仕事の合間に話すなかで、まちが少しでも盛り上がることにつながれば、という地域への想いも伺いました。

枝ぶりや幹がよく見えるようになりました
思い立って旅に出ることもあるという東さんは、各地へ足を運ぶ軽やかさと、思いをすぐ行動に移すエネルギッシュな印象の方。その熱量は、河内長野でも何かを形にしていく力になりそうです。

さっぱりした槇の木と 左)相棒の北野さん 右)庭寿縁・東さん
終始作業する姿を見ていると、庭師という仕事がすごく楽しいのだと伝わってきました。大きくなった木をどう整えるか、庭とどう付き合っていくか。自分たちだけでは判断が難しいときに、相談できる庭師さんが地域にいるのは心強く感じます。







