【富田林市】「道草くわんと帰ってこいよ」の“道草”ってどれ? 富田林の里山「奥の谷」で野草を食べる会
富田林市内のイベントで、「富田林の自然を守る会」のブースが目に留まりました。無農薬米のほか、木材の輪切りや竹トンボ、木製のスマホ立てなどが並び、どこか懐かしい空気が漂っています。

活動場所は、富田林市彼方にある「奥の谷」だといいます。里山保全を行っていると聞き、「そんな場所があったんだ」と気になって訪れてみることにしました。

活動のひとつ、4月末に開催された「春の野草を食べる会」に参加しました。参加者は20人ほど。会員以外も参加できるため、初参加の方も多かったようです。堺市の方や、ポーランド・コロンビア出身の方もいて、野草だけでなく、それぞれの国の食文化の話でも盛り上がっていました。

当日の流れはとても自由です。各々で野草を採りに行き、「これは食べられる?」「どう料理する?」と詳しい方に教わりながら、みんなで調理していきます。

教えてくれたのは、2年前まで代表を務めておられた田渕さん。まず「野草とはなにか」ということからはじまります。品種改良されず、人の手で栽培されていない、自然の環境で育った植物を指すそうです。そのなかに、外来種も交じっています。

いつ日本に入ってきたのか、昔から日本に自生している在来種との違いについての話もありました。

たとえばタンポポ。花を裏返した時、ガクが反り返っているものは外来種、包み込むようになっているものは在来種だそうです。一見すると違いはわかりませんが、大阪自然環境保全協会では、大阪のタンポポを50年間調査しているとのこと。

調査では、農地の宅地化や開発によって、里山に多く見られた在来種が減少し、外来種が広がってきたことも確認されているそうです。タンポポは、身近な自然環境の変化を知る指標にもなっているのだとか。

ほかにも、セリやスギナ、ドクダミ、ヨモギなど、聞きなじみのある野草が並びます。なかでも印象的だったのが「イタドリ」。

若芽を選び、その茎の外側の筋をむいて、生のまま食べられるそうです。少し酸味があり、塩を少しつけても合うとか。そして、このイタドリが、あの「道草くわんと帰ってこいよ」の“道草”のひとつではないかという話が。

「わたしも子どもの頃に食べたわ」という声もあり、実際にかじってみると、酢の物のような味わいで「これはたしかに道草してしまうかも」と思ってしまいました。

里山の拠点に使われている「旧みかん小屋」
活動場所となっている奥の谷は、もともとみかん畑だったところ。当時、みかんの木以外に植えられた山椒やお茶の木が今も残っており、毎年自然に葉をつけるそうです。

真ん中の葉がお茶の葉
野草ではないですが、こちらもいただきます。山椒は葉をもぎるだけで、あの独特の香りが辺り一面に充満するほど香り豊かでした。

たけのこやワラビなども採れるそうですが、下ごしらえが必要なため、会員の方々が前日までに準備。大きな釜で炊き込みご飯を炊き上げます。

そのほかの野草は、天ぷらやみそ汁、よもぎ団子などにしてテーブルに並びました。

「野草」の献立は思っていた以上に豪華で、自分たちで採ってきたことも相まって、どれを食べてもおいしく感じ、初めて食べたのになぜか懐かしい気持ちにさせてくれます。野草なので風味は強く、ひと口ごとに春の匂いを感じます。

次々と箸が進むなか、「食べ慣れていないので、食べすぎには注意してください」とのこと。こんなにおいしいのに?とみんなで話しながら、自然の中でご飯を囲みました。

今日初めて会った人たちと野草を採り、料理をして、一緒に片付けをする。不思議と一体感が生まれ、昔から知っていた人たちのような気分になります。

食べ終わった子どもたちが、田植え前の田んぼで泥んこ遊びをして、キャッキャっと楽しそうな笑い声も響きます。

里山の説明をする代表の上角さん
この奥の谷で活動する「富田林の自然を守る会」は、1989年に設立された市民団体です。現代表の上角さん、田渕さん、ほか2名を含む4名が初期メンバーだそう。

最初から「里山保全をしよう」と始まったわけではなく、活動場所を探していた時に、奥の谷の土地所有者・石垣さんとのつながりから、この場所で活動するようになったそうです。

子どもたちといっしょによもぎ団子を作る石垣さん
奥の谷は約12ヘクタールもあり、そのうち約2.3ヘクタールを整備しながら活動が行われています。現在は、草刈りや間伐、竹林整備などの里山保全活動を行いながら、野草を食べる会や自然観察会、田植え、炭焼き、竹工作など、自然に親しむさまざまな活動も続けています。

活動は「自然環境保全」だけでなく、「自然にかかわる文化的な活動」も大きな柱になっているそうです。また、富田林の自然を守る会は、富田林市が保有する「金剛風土の丘」の売却方針に対し、自然環境を次世代に残していこうと、現在も署名活動を行っています。

実際に参加してみると、自然を守ろうという理念を前面に出すというより、「まず楽しむ」「気軽に参加する」という空気を感じました。長く続けてこられた理由について、上角さんは「里山保全の活動だけではなく、仕事などもあったし、少しずつ進めてきたからかもしれません」と話してくれました。

それぞれの役割を見つけて作業する参加者
そして、メンバー全員で活動するというより、誰かが忙しければ、ほかの人が携わり、代わる代わる順番に繋いできた感覚もあり、4人いたのもよかったのかもとも。

奥の谷では、2022年から2024年にかけて、長期間放置されていた雑木林の再生にも取り組んでおり、暗かった林が少しずつ明るくなり、植物も戻ってきているそうです。

※提供:富田林の自然を守る会様
5月以降も、竹ぽっくりづくりや植物観察会、田植え体験、水辺の生き物観察会など、季節ごとの活動が予定されています。

※提供:富田林の自然を守る会様
大阪市内から電車で約40分、近鉄・滝谷不動駅からほど近い「奥の谷」。生活の都市化とともに急速に失われつつある里山は、意外と近くで守り続けてこられました。

里山を守るというと難しく聞こえますが、まずは気軽に足を運んでみること。そんな時間の積み重ねが、この風景を残していくことにつながっているのかもしれません。
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