【河内長野市】Goodクマイル移転の裏側。「こぐま商店」はオーナー熊岡さんの“歩み”そのもの

大阪府
こぐま商店

翌日にオープンを控えた「Goodクマイル」外観

2026年3月1日、河内長野市野作町にあった「Goodクマイル」が、系列の「こぐま商店」近くでリニューアルオープンしました。前店舗が好評だったなかでの移転です。その理由を伺うと、製造体制の拡充が背景にあったといいます。

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大阪市内のホテルでウェルカムスイーツとして、Goodクマイルが手がける「マルクテホロホロ」が採用されたそうです。その出来事をきっかけに、製造量が増加。これまでの店舗では作業スペースが手狭になり、より広い場所へと移ることになったとのこと。

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そのクッキーをひとくちいただくと、名前の通り、ほろほろとほどけ、やさしい甘さが口に広がります。かなりの数を手作業で仕上げていると聞き、味わいの奥に地道な積み重ねを感じました。

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この「Goodクマイル」が移転したことで、「こぐま商店」、その隣にある「焼肉 寄つ場」と、系列の3店舗が向野町に揃いました。こうした節目に、オーナーである熊岡さんにお会いする機会をいただきました。

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熊岡さんのスタート地点である寄つ場の成り立ちからはじまり、コロナ後すぐにオープンしたGoodクマイル、そして、2023年のこぐま商店の開店。これまでの流れを聞いていくうちに、熊岡さんの歩みは“人”を抜きには語れないとわかっていきます。

熊岡さんは、社会人になってしばらくは料理人として活躍されていたそうです。うどん、イタリアン、焼肉などさまざまな現場を経験し、料理の腕に自信をつけていきます。そのうち、現場の管理を任されるようになり、経営のことが視野に入ってきたことで、料理人としての自分とどう折り合うか悩んだ時期があったといいます。

その頃、やりたいことは何なのか、自分の気持ちに立ち返ることが増えたそうです。考えた末、熊岡さんが次に選んだのは陶芸でした。

こぐま商店

写真はイメージです

まったく違うジャンルの道を歩み始めたそうです。岸和田市のとある陶器研究所で技術を学び、研究員を卒業した後に独立。仏具や瓦などを納品し、個展なども開きながら、陶芸家として日々を過ごしていたといいます。河南町に工房を構え、焼物を焼く傍ら、併設のカフェで料理を振舞う毎日。そんな風にひとり忙しくしていた頃、転機が訪れます。

料理人時代の先輩が突然訪ねてきたことをきっかけに、熊岡さんは中小企業の副社長という立場に就きます。飲食のフランチャイズでお店の立ち上げに関わり、本格的に経営に携わるようになりました。しかし、入社から3年ほどで会社は倒産。立ち上げたばかりの店舗をどうするか、熊岡さんは思案することになります。このお店が、現在の「焼肉 寄つ場」へとつながっていきます。

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そこに配属されていた店長がぽろっとこぼした「僕、田舎に帰らんといけませんわ」の言葉を耳にし、熊岡さんは迷いながらも覚悟を決めます。

後ろ盾を失ったなか、土地の所有者に事情を説明しに行きます。「会社がつぶれて、なんの保証もない男です。それでも店を続けたい」と頭を下げたとき、「あんたみたいな人に借りてもらえるなんて、私はラッキーやわ」と返ってきました。思いがけない言葉に、熊岡さんは驚きと同時に、感謝と申し訳なさが入り混じる気持ちだったといいます。そして、大人としての振る舞いを目の当たりにし、自分もこうなりたいと思ったそうです。その方は今でも、熊岡さんのひとつの基準になっています。

経営が安定しない時期には、朝は実兄の仕事を手伝い、昼から店に立ち、夜中はアルバイトをしながら営業を続けていました。そんななか、料理人がケガをして働けなくなるなど、予期せぬ出来事も重なります。途方に暮れて毎夜、ひとりで仕込みをしていると、ある日突然、友人の谷口さんが店に現れました。「仕事、辞めてきたで」とひと言。

その姿を見たときのことは、今でも鮮明に思い出せると熊岡さん。その救いのおかげでなんとか店舗をまわせるようになり、お店は軌道に乗り始めます。

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かつて野作町で営業していた「Goodクマイル」

やがて、義姉が続けていた菓子づくりを事業として展開し、クレープ店をオープン。その直後、コロナ禍に見舞われます。客足が伸び悩むなか、店でアルバイトをしていたスタッフのつながりから、ある“おかき”と出会います。スタッフの親族が製造していたそのおかきを口にし、「これをうちで扱わせてもらえませんか」と声をかけたことが、「こぐま商店」の序章となります。まずは寄つ場で販売を始め、徐々に広がっていきます。

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こぐま商店を代表する商品「クマオカキ」

寄つ場での販売が増えるなか、本腰を入れようと、近くのスーパーでも売り子などをして地域に周知していったそうです。そして、2023年4月「こぐま商店」の店舗を開店。

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90年続く老舗のおかきのおいしさが口コミを広げ、こぐま商店の名は知れ渡っていきます。この状況は、米菓業界が厳しいなかで、想像以上の反響を呼びました。

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ほかの製造元からも「こぐま商店のブランドで扱ってほしい」という声が届くようになり、おかき以外にも幅広く商品を取り扱うようになります。今では地域の土産店として知られる存在へ。

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メディアにも重ねて取り上げられ、2025年6月にはあべのハルカスにも出店。

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「河内を代表する企業100選」にも2026年2月から選出されています。Goodクマイルの移転も含め、「こぐま商店」は着実に食品メーカーとして成長を続けています。

こうして事業が広がる一方で、「自分は時代に取り残されるかもしれません」と熊岡さんがふと口にします。これまで人情に拾われてきた。その縁があったからこそ、今がある。今度は自分が背負う側に立ちたいと話します。ただ、企業の規模を大きくしなければ、守れないものもあるのが現実。そうした迷いの中にあることを、正直に語ってくれました。その受け継いだ基準を抱えたまま、どこまで進めるのか。歩みはまだ続きます。

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すでに次なる目標も定めているといいます。観光を盛り上げようとしても、地域に宿泊施設が少ない現状では広がりに限界がある。地域のことも視野に入れ、Goodクマイルの移転先のように古民家を活用することも考えているそうです。また、犬と宿泊できるトレーラーハウス事業も構想しているとか。

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大の犬好きと公言する熊岡さん。これまでも犬用のお菓子の販売や、犬同伴で利用できる店舗づくりに取り組んできました。その延長線上にあるのが、今回の構想でもあります。

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事業を展開していく理由は、自身の会社のためだけではありません。こぐま商店の成長が、地域のこれからとどう重なっていくのか。「まだまだこれからです」と熊岡さんは笑顔を見せてくれました。

こぐま商店
住所
〒586-0013 大阪府河内長野市向野町559-1
営業時間
10時~17時
定休日
年中無休
電話番号
0721-81-7410
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※情報は取材当時のものです。来店の際は公式情報をご確認ください。

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