【河内長野市】住吉神社との関係は? 青賀原神社の擬宝珠に刻まれた日付が語ること

あと数日で年が明けます。年末年始には氏神さまの神社へ足を運ぶという方も多いかもしれません。大阪府神社庁サイトによると、河内長野市には13の神社があります。その中で、少し独特な成り立ちをもつのが、下里町に鎮座する「青賀原神社」です。

青賀原神社

実は、神社本庁に加盟していないとのことで、その背景には、時代の移り変わりのなかで、やむを得ない事情があったようです。毎月1日に社殿が開放されると聞き、そのタイミングで青賀原神社を訪問。その際、地域の方ともお話しすることができ、神社にまつわることをたくさん伺えました。

青賀原神社

明治に入り、国の制度が大きく変わるなかで、各地では神社をまとめる動きが進みました。青賀原神社もそのひとつで、明治40年に小山田町の住吉神社へ合祀されたといいます。それでも社殿はそのまま残され、地域の人たちが手を掛けながら守り続けてきました。

青賀原神社

その合祀されたことを語り継ぐように、住吉神社にある狛犬が、もともとは青賀原神社のものだったと地域に伝わっています。(上の写真は住吉神社の鳥居)

青賀原神社

また、参拝方法にもその気配があります。青賀原神社を参拝されている年配の方々を見ていると、まず社殿の正面で手を合わせ、隣に並ぶ稲荷社をまわったあと、社殿の裏側へ。

青賀原神社

そして、最後は境内の一角へと足を運ばれます。何もないように見えるその一角でも手を合わせておられたので、気になってお話を伺うと、「小さいころに母親から『この方角には住吉さんがいてはるから、ここでも拝むんやで』と言われてね、今もそれを続けているだけなんよ」と教えてくれました。

青賀原神社

合祀からおよそ80年後の昭和62年、宗教法人として認可されました。戦後に整えられた制度のもとで、地域にとって大きな節目の出来事でした。こうした事情からほかの神社と成り立ちが異なっていたようです。現在、専任の宮司を置かず、氏子が3人1組で、持ち回りで担当されています。

青賀原神社

社殿や稲荷社には鯛などがお供えされていて、丁寧に祀られているのを感じます。月1回の機会なので、境内の建物などをじっくりと拝見させていただきました。

青賀原神社

社殿にあがるための欄干に、緑青を帯びた擬宝珠が据えられていて、左右にそれぞれ違う年号が刻まれていました。

青賀原神社

右側には「享保九年辰」、左側には「明治十二年卯」と記され、日付はどちらも「八月十四日」となっています。

青賀原神社

享保9年は江戸時代なので8月14日は旧暦のことでしょうが、明治12年の日付は時代的に太陽暦のもの? それでも、あえて旧暦の8月14日を刻んだと考えると、何か意図があったようにも思えてきます。

青賀原神社

青賀原神社が開放されるのは、この朔日詣りのほかに、2月頃の初午、誕生祭の5月16日、そして、年末年始だと聞いています。8月14日という日付は、どれにもあてはまらず、謎は深まります。

青賀原神社

そういえば、この社殿は参道から見ると、横向きに建っています。通常は参道の先に社殿があり、正面を向いていることが多いため、少し違和感のある造りです。社殿が向く方角にも意図があるのでしょうか。旧暦の8月14日と関係しているかもしれません。唯一の手掛かりとなる、旧暦の日付と年号をあわせて、現在の太陽暦になおしてみると、どちらも9月末にあたりました。その時期に、社殿が向く方角には何かがあったのでしょうか。

青賀原神社

境内の案内板に書かれていた九つの頭を持つ龍のお話がヒントになりそうです。空海が念仏を唱えた時、黒雲が立ち込める空から狩場明神(高野明神)と2匹の犬が現れ、その龍を退治したと伝えられています。狩場明神がその方角から現れたとしたら? そう考えてみると、おもしろくなってきました。

青賀原神社

社殿が向いている方角は、東の空の少し南寄り。9月終わり頃、夜が更けていくと、空には冬の星座が少しずつ姿を現します。狩場明神は弓矢で龍を退治しました。弓を携えた狩人の姿として描かれている冬の星座は、おそらくオリオン座。その足元には、おおいぬ座が寄り添っています。こうして重ねて考えてみると、星の動きに沿った伝承のようにも思えてきます。

青賀原神社

写真の方は、畑仕事を中断して話をしてくれた地域の方で、資料まで作ってくれました。擬宝珠に日付が刻印されていることを教えてくれたのも、この方です。

青賀原神社

史料や伝承、星の動きに思いを重ねながら境内を歩いていると、ここで過ごしてきた人たちの時間が、静かに折り重なっているように感じられます。青賀原神社は、そんな時間の重なりを今に伝える場所なのかもしれません。星の話は、あくまで現存するものから想像してみたものですが。

青賀原神社

前述のとおり、年末年始の12月31日~1月3日に、社殿が開放されています。実際に足を運んでみて、写真や言葉だけでは伝わらない空気を感じるのも大切だと思います。

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